著者が自費出版していた「月刊ドライブイン」がもとになった店のルポだ。

 黄金期には、どこも観光バスや長距離トラックが列をなし、土産物が売れた。話をつなげていくと、国土開発に沸いたニッポンが蘇る。しかし本書の特色は、市井の話にじっくり耳を傾ける姿勢にある。軍隊嫌いなのに軍歌を歌う「軍国酒場」を営み、その元手でドライブインを開いた鹿児島の夫婦。

「今はもう、ドライブを楽しむような時代じゃないでしょう」と語る岡山の店主。店は閉めたが、息子がカラオケ喫茶に改装して繁盛している。多くが家族経営で、取材の承諾を得るまでに最低2回は店を訪れたという。

 かつて東海道には「ドライブイン銀座」ができたそうだが、廃業した店々は「休憩」の余裕を欠いた時代の映し鏡かもしれない。

週刊朝日  2019年4月5日号