写真の傾き、流し撮り、長時間露光、スマホ撮影……鉄道情報サイト「鉄道コム」で募集した鉄道撮影の悩みや疑問の数々に、櫻井寛と助川康史の二人の人気鉄道写真家がガチンコで答えます! 初歩的な質問が多いなどと侮るなかれ。実は奥深いテクニックが満載なのだ。「アサヒカメラ」2月号から鉄道写真対談をお届けする。
* * *
■Q 長時間露光のやり方がよくわかりません。(カユニ25-901さん)
櫻井:写真(上記)は……フィルムなんですね。
助川:後ろに西村京太郎の小説があるのがいいですね。
櫻井:しかも復刻版時刻表ですよ。復刻版の箱もありますね。僕も持っているからわかります(笑)。昭和43(1968)年の大規模なダイヤ改正がありましてね。
助川:ヨンサントー。昭和43年10月のダイヤ改正で全国的に一気に特急電車が増えたんですよ。
櫻井:まだ蒸気機関車がいっぱい走っていたんです。特急が出たのは昭和37年だよね。
――すみません、脱線しちゃったんで、話を元に戻したいのですが。
櫻井:ここに置くならカメラはニコンFでしょ。その時代のカメラだし。ヨンサントーの時にFM2は出ていないんだから。
――あの、長時間露光についてなんですが……。
櫻井:そりゃもう「相反則不軌」ですよ。
助川:懐かしいなあ。
櫻井:今はそんなことを考えないなあ。まあ、いい三脚とストップウォッチを買って。
助川:ここでは説明しきれないので、カメラ雑誌やノウハウ本で勉強したほうが良いですね。
櫻井:昔はレンズキャップを外してから「♪月がー出た出た」などと歌ってバルブの時間を計っていたんですよね。
■Q 写真の傾きが気になるのですが、対策はありますか?(ぜっとせぶんさん)
櫻井:カメラ内水準器は必須です。
助川:それでダメなら三脚(笑)。自分も以前は右側に傾く癖がありました。今は水準器を出しっぱなしです。
櫻井:僕はスクリーンに罫線をしつこく出しています。ファインダーをのぞいて、「水平な電線が何十本も走っているなあ」と思っちゃうぐらい(笑)。その線に合わせて流し撮りをしています。
助川:線はオートフォーカスのポイント設定でも使います。置きピンの場合は特に。
櫻井:夢中で撮っていると、それでも傾くことはありますけどね。
助川:質問者は傾きを修正すると画面が切れちゃうのかもしれません。ギリギリの画角で撮っているのであれば、四隅に少し余裕を持って撮ったほうがいいと思います。