●コントロールできることしか考えない

 要するに、愚痴ったり文句を言ったりするから、ストレスを感じるのです。文句を言わない、と決めると、3つしか選択肢はないわけですから、そのどれかを実行するしかありません。

 シンプルですが、このことに気づくと、ストレスがなくなります。多くのケースで、我慢するしかないという選択になりますが、どうせ変わらないルールなら、そもそも考えなければいいのです。

 自分でコントロールできないことを、いくら考えても仕方がありません。今日は大雨で嫌だな、と思っても晴れてはくれません。世の中の景気が悪くて困るな、と思っても景気が良くなるわけではありません。

 考えても、どうしようもないのです。であるならば、考えなければいいのです。自分でコントロールできること、自分のアクションで変えられること、しか考えない。そうすれば、ストレスはなくなります。

 このことに気づくと、グッとラクになります。実際、私はラクになり、ストレスフリーになりました。コンサル時代もハイ・ストレスでしたし、後のヘンケルも、ワールドも、日本マクドナルドも、まわりから見ればかなりのハイ・ストレスの仕事でしたが、私にはストレスはありませんでした。

 さらに言えば、結局、思い悩んだりする人は、暇があるから余計なことを考えてしまうのだと思います。忙しいと、本当に考えなければいけないことしか、人間は考えないのです。悩む時間や、ストレスを感じている時間なんてありません。だから、暇な人ほど悩んでいます。忙しい人は、悩むことがありません。悩む時間がないからです。

(足立光:元日本マクドナルド・マーケティング本部長/上席執行役員)

■著者紹介
足立 光(あだち・ひかる)
元日本マクドナルド・マーケティング本部長/上席執行役員。1968年、米国テキサス州生まれ。一橋大学商学部卒業。P&Gジャパン(株)マーケティング部に入社し、日本人初の韓国赴任を経験。ブーズ・アレン・ハミルトン、及び(株)ローランドベルガーを経て、ドイツのヘンケルグループに属するシュワルツコフヘンケル(株)に転身。2005年には同社社長に就任。2007年よりヘンケルジャパン(株)取締役 シュワルツコフプロフェッショナル事業本部長を兼務し、2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。(株)ワールド 執行役員 国際本部長を経て、2015年から日本マクドナルド(株)にてマーケティング本部長としてV字回復を牽引し、2018年6月に退任。その後、アジア・パシフィック プロダクトマーケティング シニア・ディレクターとして、(株)ナイアンティックに参画。2016年「Web人賞」受賞。翻訳書に『マーケティング・ゲーム』『P&Gウェイ』(ともに東洋経済新報社)等。オンラインサロン「無双塾」主催。