個人事業主や起業はハードルが高いと思う人は、月に数日からプロボノに参加してスキルの棚卸しから始めてみるのもいい。
「定年後に起業して、仕事の依頼が来るようになったのは、会社を辞めてから知り合った人たちのツテが大きかったです」
と英樹さんが言うように、定年後、個人事業主や起業などで働きたいと思う人は、現役時代から社外の友人をたくさん作っておくことを勧める。
■感謝の気持ちを口に出す習慣を
一方で、今までずっと働いてきたのだから、定年後は家でのんびり過ごしたいと「三食昼寝付き」の夫もいるだろう。
ヤスシさん(仮名・65歳)もそのひとり。やっと会社員生活から解放されたのはいいが、これといった趣味がない。
「コロナにかかりたくないから外出は自粛する」と言い訳をしながら、居間で新聞を読みながらテレビを見る日が続くうちに、妻から「お小遣いあげるから遊びに行っておいでよ」と言われるようになってしまった。
「夫の三度の食事を作るのは面倒という妻のシグナルです。家にいるのであれば、もっと家の仕事を手伝いなさいと妻は心の中でそう思っているのです」(加代さん)
夫に家事を手伝ってもらうと、かえって手間がかかる。「自分の城(台所)」を汚されたくないと思う妻もいるだろうが、妻が長期不在にしても、夫がひとりで留守番できるようにしておいたほうがラクという。
「妻が突然、寝込んでしまったときに、それまで夫が一切家事をやっていなかったら、休んでいられない事態に陥ってしまいます。1週間ぐらい妻が家を空けても、夫ひとりで自炊、洗濯、掃除、ゴミ出しぐらいはできるようにしてもらいたい」(同)
その際、洗濯物の畳み方や食器の後片付けなどが気に入らなかったとしても、「妻は我慢して夫をほめてほしい」と加代さんは言う。
「自分のやり方と違うなと思っても、目をつぶって『手伝ってくれてありがとうね』と一言があると、亭主は喜んで、次から率先してやるようになります(笑)」(英樹さん)