週刊朝日 2022年12月30日号より
週刊朝日 2022年12月30日号より

■60歳以上働く人 受け取れる手当

 確定申告で手続きをすれば、支払った所得税等は戻ってくるが手間がかかる。

 その「退職所得控除」は勤続年数によって控除額が異なり、退職一時金と企業年金を一括で受け取ると、退職所得控除の額を超えてしまうケースがあるので注意が必要だ。

週刊朝日 2022年12月30日号より
週刊朝日 2022年12月30日号より

 例えば、勤続年数が38年のヤスヒコさん(仮名・59歳)は、退職一時金2千万円、650万円の企業型確定拠出年金を受け取れることがわかった。

 下記の計算式にあてはめると、退職所得控除の額は2060万円。退職一時金と確定拠出年金を一括で受け取ると、課税対象額は295万円、所得税額は19万7500円にもなる計算だ。

 ヤスヒコさんは、「それならば60歳で退職一時金を受け取って、翌年に確定拠出年金を受け取ればいい」と思っていたが、そうはいかないことがわかった。

「退職所得控除は60歳のときに退職一時金を受け取ったら、『4年超間隔をあける』というルールがありますので、翌年は適用されません。次に退職所得控除が使えるのはヤスヒコさんが65歳のときになります」(西原さん)

 60歳以降、再雇用制度を利用して同じ会社で働くことにしたが、給料が60歳前と比べて減額することがわかったので、確定拠出年金は「年金形式」で受け取り、生活費の足りない分を補おうと考えた。60歳から64歳までの人は、年60万円まで、65歳以上の人は110万円まで、「公的年金等控除額」を使えば税金がかからない。

 月5万円で設定すると、公的年金等控除額の範囲内で収まる計算になった。

「確定拠出年金は、原則60歳以降75歳までの間で受け取りを開始することが可能です。ここでも退職所得控除に関するルールがあり、確定拠出年金を一括で受け取ろうとするときは注意が必要です。退職一時金を60歳で受け取ったら確定拠出年金を一括で受け取るまで14年間空けなければなりません。それは現実的ではないので、年金形式で受け取ったほうがいいでしょう」(同)

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