「専務が一部の人材を重用する一方、従来の幹部が“左遷”される例もある。専務に近い社員とそれ以外とでモチベーションなどにかなりの隔たりがある」と、ある関係者は指摘する。
施策が結果を出し続ければトップダウンでやり通すこともできるかもしれないが、業績面で踊り場を迎えている。18年の決算は、営業利益が5年ぶりの減益となった。
国内外での広告宣伝費などが先行したことや市場環境の悪化などの要素も大きい。ただ、主力商品への集中が一巡したことや、非主力に位置付けられた商品への投資が後回しにされたことが売り上げに影響を及ぼしているのではないかと、あるアナリストはみる。
18年は中間決算で業績予想を下方修正し、通期では年初の計画に対して売上高は216億円の未達となった。売上高減を主因として営業利益も、年初計画比で46億円減となっている。
「業績の未達に焦った経営陣が人件費削減で“身を切った”。これが人事制度改革の本質」と冒頭の幹部は解釈している。
20年を最終年度とする中期経営計画には、基本方針に「人財力の強化と『働きがいのある会社』の実現」とある。実際のところは、従来の好業績を支えてきた社員の退職が相次ぐ。
こうした人材流出も血を入れ替える腹で想定内なのだろうが、残された社員のモチベーションが下がるようでは楽観できない。
食品企業でもグローバル化を迫られるなど、外部環境が急変しており、経営側に強い危機感があるのは確かだ。だが、このまま経営側と社員の間で意識の乖離が広がり続けるのであれば無残だ。