社会学を学んだ著者の「お墓」について考える調査報告。注目は後半のインタビューだ。

 対象者は年齢や家族構成の異なる男女12人。数は少ないが、中身はディープでドラマ以上に読み応えがある。山形県の実家の「墓の草むしり」のために帰省を強いられるのが悩ましいと語る東京在住の50代の男性。両親の離婚で将来二つの墓を管理しなければいけない団塊ジュニアの男性など、男に多いのは「できれば考えたくない」という結論先延ばしの心理だ。

 子供に負担をかけたくないと、離婚した元夫と「共同墓」に入ることを考える70代の女性、逆に夫とは別の墓を希望する30代の女性など、家庭の内情に踏み込んだ聞き取りは「身の上相談」を思わせる。「誰を家族と思うか」という質問の答えに、家族のあり方がからんでくる点も興味深い。

週刊朝日  2018年8月3日号