恐竜は地球に本当にいたと知ったときから恐竜にあこがれてきた。でも、恐竜好きの変わった女の子と見られるのが嫌で、人形の代わりにこっそり恐竜のミニチュアに手づくりの服を着せ遊んでいたのは、隣家の子しか知らない秘密だった。とにかく家に小さな恐竜がいたら楽しいのにと思っていた。

 今では、恐竜は滅びたわけではなく、一部は鳥類として命をつないできたというのが定説になった。ずっと小鳥と暮らしてきた私はとっくに夢がかなっていたというわけだ。

 長らく一緒に過ごしたセキセイインコを見送った後、自分の年を考え、最後の相棒となるかもしれない鳥をあれこれ思案した。そして、ペット店での偶然の出会いを経て2年前にわが家にやってきたのが、緑色をしたオキナインコのチョビ(写真、雄、2歳)である。

 おしゃべり上手で人懐こいが、賢いだけに個性も強く神経質なインコだそうで、たとえ愛想がよくなくても、ほどほど仲良く過ごせたらと思っていた。

 が、彼はたちまち言葉を覚え、歌を覚え、本当はネコ派で今まで仕方なく鳥好きの私に付き合わされてきた夫も、すっかりメロメロになってしまった。何しろ暗くしてあるかごの中でも気配を察して「オトーサン、オカエリナサイ」と迎えてくれ、出勤前に一緒に童謡を歌うのが日課だ。

 一方、家でパソコンに向かって仕事をしている私にとって、にぎやかで愛らしい生き物がかたわらにいてくれるのは本当に心がなごむ。ただし、目が合えば「チョビチャンデル」と催促してくるのはご愛嬌だ。

 オキナインコは30年も生きるという。縁あってわが家のおちゃめで陽気な末っ子となったこの小さな恐竜と、できる限り長く一緒にいられることを願っている。

(黒澤朋子さん 埼玉県/55歳/在宅ワーカー)

【原稿募集中!】
「犬ばかばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。
原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。
必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。

尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。
mypet@asahi.com
※著作権は本社に帰属します