一橋大から日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行、同期中最速でハーバード大学に留学し、帰国後にインターネット企業の楽天を創業。ピカピカのエリートに映る三木谷浩史氏だが、この評伝を読むと印象が一変するだろう。

 中学生から競馬、パチンコに没頭し、年間の欠席日数は40日以上。成績だけは良かったのかと思いきや、5段階評価で2と3ばかりで、それが高校2年まで続く。

 研究者の父親は世間体にとらわれず、物事の本質を見ることを重視した。勉強も強制しなかった。父を師と仰ぐ息子も自然にその哲学を受け継ぐ。

 成績が優れなかったのも、勉強に意味を見いだせなかったからで、興味を持つと、一心不乱に突き進む。小さくまとまらず、いかに大きな発想を持つか。子育て中の人にもオススメの一冊だ。

週刊朝日  2018年3月30日号