金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=代表撮影
金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=代表撮影
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 日本銀行が0.5%までの長期金利上昇を容認した。黒田総裁の任期満了を2023年春に控え、超低金利時代の「出口」が薄ぼんやりと見えてきたのか。AERA 2023年1月2-9日合併号の記事を紹介する。

【図】日銀が示す長期金利の上限はこちら

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 日銀が12月20日、長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度へ引き上げた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で「利上げではない」と強調したが、日経平均株価は一時820円を超える急落に見舞われ、外国為替市場で一気に6円以上円高が進むなど金融市場は大混乱。市場の反応を見る限り、日銀がこれまでの大規模金融緩和を見直し、事実上の利上げに動いたと投資家が受け止めたことになる。

 市場の動揺には理由がある。日銀事務方トップの内田真一理事が5月10日の参議院財政金融委員会で長期金利の変動幅引き上げについて「事実上の利上げとなり、日本経済にとって好ましくない」と答弁し、0.25%からの引き上げ観測をきっぱり否定している。黒田総裁ら日銀幹部がその後も金融緩和継続の必要性を念押ししたこともあり、金利上限の引き上げに対する市場の警戒感はゼロだったと言っていい。

事実上の利上げに市場は反応、円高が急速に進み、日経平均株価は急落した=いずれも2022年12月20日
事実上の利上げに市場は反応、円高が急速に進み、日経平均株価は急落した=いずれも2022年12月20日

■「だまし討ち」承知で

 そんな状況で突然、金利水準見直しが発表された。「市場との対話」どころかだまし討ちになるのを承知で、なぜ日銀は修正を急いだのか。

 第一生命経済研究所の野英生首席エコノミストは、国債買い入れの弊害に2023年4月の日銀総裁交代、円安による物価高騰が加わり、日銀の背中を押したとみている。

 日銀は黒田総裁が就任した13年4月、脱デフレを掲げる故・安倍晋三首相の要請に応え、国債を買って金融市場に資金を大量供給する「異次元金融緩和」を開始。16年には短期金利をマイナスに設定し、長期金利を0%前後に抑える金利コントロール政策を始めた。しかし、政府が脱デフレを宣言できないうちに日銀の抱える国債が積み上がり、22年9月末時点で日銀の保有する国債は発行残高の50.26%と5割を超過。長期金利の指標となる10年物国債は最近、業者間取引で売買が成立しない日もあり、市場は機能不全状態だ。

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