社長は何を食べ、財布にいくら入れ、そして何を目指しているのか。主要ネット証券の一角、松井証券の和里田聰社長が登場に話を聞いた。「AERA Money 2022秋冬号」からお届けする。
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松井証券はiDeCo(個人型確定拠出年金)の投資信託の質がいいと評判だ。今年2月末に米国株の取り扱いもはじまった。和里田社長が顧客に提供したいのは魅力的な金融商品のその先にある「投資の楽しさ」だという。
183センチの長身に79キロの体重は51歳の今も大学卒業時と変わらず、スラリとしている。日々の「マネジメント」の成果か。
朝は季節の果物とスムージーが定番だ。
「夜に会食がある日の昼食は軽く弁当で済ませるか、ナッツの盛り合わせだけ」と和里田社長。この日の昼食は550円の「厚木航空基地カレー」だった。
「僕は基礎代謝が1800キロカロリーくらい。毎日体重計に乗り、少し太ったら食べる量をちょっと調節します。土日はゴルフもするので1万歩以上歩きます」
和里田さんのキャリアは日用品大手の米国プロクター・アンド・ギャンブル(以下、P&G)日本法人からスタートした。
「年功序列は肌に合わないと感じ、実力主義の外資系企業に飛び込みました」
商学部で金融分野を専攻していたため、P&Gではファイナンス部門を志望し、採用された。
「CFO(最高財務責任者)の養成コースといった感じ。ブランドを一つの会社、ブランドマネジャーを社長に見立てた独立採算制に近い運営形態でした。
それぞれにCFOがいて事業戦略を財務面から支援。中期計画を立案して年度計画に落とし込み、予算と実績を管理して経営にフィードバック」
基礎代謝を把握し、日々の食事とウォーキングで微調整する和里田さん流の体重管理と似ている。
最初に転職したのは当時伸び盛りのリーマン・ブラザーズ証券。
「P&GでCFOの見習いを4年やってみて、自分のキャラクターに合わないと思いました。前に出たかった」
リーマンでは花形の投資銀行本部で金融機関チームに所属。資金調達やM&Aのアドバイスを担当した。その1年半後、上司が欧州系大手のUBS証券に転じたとき、誘われて後を追う。1999年9月のことだった。