経済や政治がこうも行き詰まってくると「もうどうでもいいや」な気分になりがちである。人口減少時代に入って、もはや希望はどこかの党名にしかないし。

 そんな私たちに「まあ諦めなさんな」と語りかけるような本である。『大人のための社会科』の著者は経済学、政治学、歴史学などを専門とする4人の研究者(井手英策、宇野重規、坂井豊貴、松沢裕作)。〈反知性主義が叫ばれる時代〉の中で教科書を書くという〈ささやかな抵抗〉の試みだ。

 たとえばこれまで、社会の豊かさを測る指標はGDP(国内総生産)の増加であった。が、豊かさの指標は経済成長だけか。近年では、寿命、教育、所得を総合的に評価するHDIという指標もあってね、とか。選挙は多数決だというけれど、多数決になじまない問題にはどう向かうか、とか。

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