アメリカではレディ・ガガを筆頭に、多くのポップスターやハリウッドスターが「反トランプ」の立場を表明している。しかし、テイラー・スウィフトはその立場を明確にしていない。トランプ支持とは言ってないが、反トランプであるとも言っていない。また、昨年の大統領選でテイラー・スウィフトはトランプに投票したという「疑惑」もささやかれているが、これに対しても彼女は明確な回答をしていない。そして、その明確にしていないこと自体が、批判の対象になっている。「なぜ、明確にトランプを批判しないのか?」という批判だ。

 テイラー・スウィフトは、そもそも、カントリー歌手になることを夢見てデビューしたカントリー歌手だ。そして、カントリーのファンは基本的にアメリカの保守的な白人層。つまり、トランプ支持層と重なる。実際、昨年の大統領選でも、多くのポップスターが反トランプを表明する中、カントリー界の大物は続々とトランプ支持を打ち出していた。

 テイラー・スウィフトも基本的にはこのカントリー音楽の系譜につながる。実際、トランプ支持の白人至上主義者には、テイラー・スウィフトの大ファンが多いともいう。しかし、その一方で、今の彼女は単なるカントリー歌手の域をはるかに超えた存在でもある。若い女性ファンが多い。そして、この若い女性ファンは、アンチ・トランプであることが考えられる。

 つまり、テイラー・スウィフトは、トランプ支持とも、反トランプであるとも表明しにくい立ち位置にいると考えられる。それが、大統領選の最中から現在まで、明確な立場表明をしていない(できない)事情となっているのだろう。しかし、前述の通り、その明確にしないという態度自体が今、批判の対象になっている。トランプ支持者からも、反トランプ派からも、立場表明を求められているのだ。

 テイラー・スウィフトに突きつけられたこの問題は、今後は世界のあらゆる国や地域で、あらゆる企業に対して突きつけられる可能性がある。政治問題には白黒ハッキリとつけにくい問題も多いが、世界が不寛容になり、分断が進めば、立場を明確にすることを迫られる状況が増えてくる。

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