外務省の役人が機密費を着服、私的流用していた事件を覚えているだろうか。供述によると、詐取した額は5億円以上。競走馬やマンションの購入、愛人へのプレゼント代などに消えた。
2001年に起きた大事件。捜査二課の4人の刑事を中心に、どうやってこの使い込みの事実をつかみ、証拠を拾い集め、取り調べで供述させ、立件したのか。それを追ったのが本書である。
著者の『しんがり』や『プライベートバンカー』と同じように、本書も丹念な取材を重ねているため、会話の再現性が高く、小説を読んでいる気分になる。特に証拠固めの捜査や、取り調べの過程は臨場感たっぷりで一気に読み進んでしまう。
国へも警察へも不信感がぬぐえぬ昨今だが、人知れず泥臭く仕事をしている人は必ずいるのだ。
※週刊朝日 2017年9月22日号
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