京都に65年近く住む作家が、行くべき場所や食事の店、近隣都市を含めた宿事情など古都の愉しみ方を提案する。
霊峰比叡山がもっとも美しく見えるのは、北大路橋を南に下った出雲路橋付近であること。拝殿の奥に外宮、内宮が建ち、お伊勢さんにお参りしている気分になる日向(ひむかい)大神宮。さまざまな定番・穴場スポットをすくい上げる。桜を観るにあたっては、日本画家の上村淳之の言葉を紹介。「夜間にライトアップをせん、水辺の桜がよろしい。ただし朝一番やないとあかん。夜はゆっくり休んで、さぁこれから咲くで、と言うとる桜を見つけなさい」。賀茂川と高野川の合流地点から北の川堤は、ひときわ艶やかな花を見せてくれるとか。祇園祭以外の夏は早朝。歩くなら町が素顔を見せる冬。茶懐石弁当のテイクアウトも素敵だ。
※週刊朝日 2017年7月21日号