黒眼鏡にヒゲ面。「団体行動が嫌い」という著者が都内公立小学校のPTA会長に選ばれた。その3年間の顛末ノンフィクションだ。
会長のなり手がいないため、男気を出して引き受けたものの、区の広報誌に顔写真を掲載するから金髪を黒く染めるようにと言われ、坊主頭にしたらコワモテ度がアップ。就任後は内向きの「PTAの常識」に唖然とし、次々に改善策を思いつくが、そのつど壁に突き当たる。例えば、休日に校庭を地域の子どもたちに開放する校庭管理の問題。運営はPTA会員がボランティアで持ち回りとなっていて、負担が大きいため、外部委託を提案するが……。
見えてきたのは、区や学校という「行政のご意向」とPTAのパシリ化だ。本業がエンタメ系のフリーライターだけに軽妙な筆致が頁を繰らせる。
※週刊朝日 2017年6月23日号