「女性が新興宗教に取り込まれてしまう背景には、日本社会におけるジェンダー不平等があります。旧統一教会はそこにつけ込んできた。勧誘する際に、そうした我慢から解放されると期待させるのです。女性の被害をなくすには、女性の妊娠や出産への手厚い政策を実施し、子育てしてもキャリアが途絶えない社会や企業文化を育てていくしかないと思います」(竹迫さん)

 猪瀬教授も、「女性の被害」をなくすには、根本的にジェンダー平等を実現することが必要だと話す。

「それは単に、男女間の平等ということではありません。性を男と女に分類する『男女二分法』など、格差を生み出す仕組みを意識的になくしていくことが必要です」

「女らしい」家族的役割や「男らしい」対外的役割の区分がなくなり、フラットになっていけば、女性ゆえに被害を受ける事態は減っていくはずだという。

「新宗教に搾取される人を減らすためにも、大きな社会変革が必要であり、その中ではジェンダー平等の実現は急務です」(猪瀬教授)

(編集部・野村昌二)

AERA 2023年1月16日号より抜粋

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