
■働きながら子育ては大変、自然と2人目はあきらめる
──夫婦では子どもを産まないと納得していても、親は孫の顔が見たいというのはあると思います。子育て中の方々に聞いてみたいのは、日本でも韓国でも、出産を避ける理由として経済的負担が挙げられます。どういう支援があれば安心して子育てできると思いますか。
李恩雅(イウンア)(40、ソウル):9歳の娘が1人いますが、共働きで、両家の両親が私たちに代わって子どもの面倒を見てくれています。韓国は競争社会で、まだまだこれから母親(私)の手助けが必要だと思います。これから学業の競争に子どもが飛び込まないといけない時期で、育児に終わりはないと感じています。
──韓国では子どもが大学を卒業するまでの養育費が1人当たり3億~4億ウォン(3千万~4千万円)というデータもあります。
李:働きながら子どものケアをするのはとても大変で、周りもそうですが、自然と2人目はあきらめる。日本や韓国では周りに迷惑をかけたくないという意識があると思います。育休や出退勤の時間を柔軟に調整できるような制度が整えばいいなと思います。
ヨウコ(40、横浜市):7歳の娘が1人いますが、共働きで、親も遠い所に住んでいるので助けは期待できない状態です。保育園などの公的支援はフル活用してきました。正直なところ、共働きなので出産費用などは経済的に負担にならなかった。だけど、子どもが大きくなればなるほどお金がかかります。娘がやりたいことは経済的にNOとは言いたくない。そのために夫と朝から晩まで一生懸命働いているのが現状です。学校に入ると、制服や体操服、書道道具などお金がかかるものはたくさんあって、そういうところで公的な支援があればいいなと思います。
──今日の参加者の多くは首都圏在住ですが、直子さんは大阪出身、鹿児島在住で、首都圏とまた状況が違うのではと思いますが、どうですか。
直子(41、鹿児島県霧島市):鹿児島へは夫の転勤で引っ越したのですが、大阪にいた時は私もフルタイムで働いていました。地方と大阪の差を感じるのは、子どもの数です。私は子どもが3人で、大阪では驚かれますが、こちらでは普通です。4人いるのも珍しくない。お金がかかる習い事がそもそもなくて、塾や予備校が少ないからか、高校では1時限の前に0時限や、夏休みや冬休みに補講がある。教育にお金がかからないというのは、子どもが多い理由の一つだと思います。