世界国別対抗戦が4月13~15日、東京体育館で開かれ、日本は3位だった。アイスダンスは村元哉中、高橋大輔組が会心の演技で今季最終戦を締めくくった。AERA 2023年5月1-8日合併号の記事を紹介する。
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怪人とクリスティーヌが憑依(ひょうい)したかのようなフリー「オペラ座の怪人」を滑りぬいた、アイスダンスの村元哉中(むらもとかな・30)、高橋大輔(37)組は笑顔を輝かせた。
「5分間練習や演技後の歓声を肌で感じるのは、現役スケーターじゃなければ出来ることではありません。日々の生活も緊張感が高く、良かったり悪かったりがあるけれど、それも素晴らしいことだなと思いました」
高橋は村元とともに客席に手を振りながら、アイスダンスでカップル結成3季目の達成感を味わっていた。
■「16年ぶりのオペラ座」
3月の世界選手権(さいたま市)では自己ベストを更新しての11位。今季最終戦となる世界国別対抗戦を前に、気持ちは高まった。
「僕が初めて世界選手権(男子)でメダルを取れたのが東京体育館で、その時のプログラムが『オペラ座の怪人』。まさか16年ぶりにオペラ座を東京体育館で滑るなんて奇跡的なこと。すべてがここにつながっていたと思える演技が出来ればいいな」
その07年世界選手権は、高橋のスケート人生のなかでも転換点となる試合だった。日本男子歴代最高の銀メダルを獲得し、キス・アンド・クライでは涙を流した。
「うれし泣きしたなんて、人生で初めて」
当時21歳の高橋は、照れながらそう語った。
16年を経て迎えた今大会。パートナーの村元はこう感じた。
「大ちゃんにとって16年ぶりのオペラ座と聞いて本当に鳥肌が立ちました」
13日のリズムダンスはノーミスで4位発進。14日のフリーの前、村元は1人で16年前の高橋のフリー演技を見た。
「モチベーションって感じで、なんだか見たくなって。すごい感動してしまいました」
シングル時代の演技は、怪人が仮面を剥ぐシーンで終わる。今季のフリーは、クリスティーヌが怪人の仮面を剥ぐ場面からスタートする“第2章”。役者はそろった。