最後に娘に会ったのは5歳のとき。幼かった娘は保育士の道を選び、2児のママになっていた。

「俺のわがままで離婚することになっただけに、来てくれたうれしさと申し訳なさで言葉に詰まってさ。ネットで調べて電話くれたそうだけど、あの時ほど『閉店しないで頑張ってきて良かった』って思ったことはなかった。料理作りながら涙出ちゃったよ」

 先日迎えた開店3周年。大和さんは記念イベントとしてランチタイムに500円カレーを提供していた。

「人生は失敗しても本人次第でやり直しがききます。生きてたら、良い時も悪い時もあるもんです。どんな時でも諦めない。お客さん、周囲の人たち、家族に感謝する。気がつくのが遅かったかもしれないけど、もしかしたら今が一番幸せかもね」

 大和さんの“敗者復活戦”。今日も愛する家族のため厨房に立つ。

すっかり板についた包丁さばき。調理中の大和さん
すっかり板についた包丁さばき。調理中の大和さん

(高鍬真之)

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