明るくて人付き合いのいい妻のサポートも見逃せない。
「困ったことや、でかいトラブルが起きても動じない。肝っ玉は俺より大きいんじゃないかな。ほんと頭が上がらないですよ」
と大和さんは照れ笑いした。
昨年9月には、9年ぶりに芸能活動に復帰し、演劇と女子プロレスを融合させたエンターテインメントを目指す「アクトレスガールズ」主催の舞台『カウント2・9』に出演した。
アイドルを目指して上京したものの、所属事務所の都合で女子プロレスラーに路線変更した女の子の物語。大和さんは、ヒロインの父親でシングルファザーの居酒屋店主役だった。
「舞台は初めての経験でした。映画とかVシネと違って、ミスってもやり直しができないじゃないですか。だから30ちょいあるセリフのパートをトチらないように、公演の1週間前から店を閉めて、一生懸命稽古に取り組みました」
ここでも家族が助けてくれた。
「娘が、学校へ行く前と帰宅後の朝晩、セリフ合わせに付き合ってくれたんです。でなきゃ、全部覚えられなかったんじゃないかな」
昼・夜の2回公演。いずれも満席に近く客席が埋まり、大和さんお目当ての観客も少なくなかった。
終演後、アクトレスガールズの坂口敬二代表に感想を聞くと、
「不器用で実直な父親役。思っていた以上に良い芝居をしてくれました」
と言って目を細めた。
「元々、力のある俳優なんですから、『そろそろ復帰してもいいんじゃないか』と思ってオファーを出しました。これをきっかけに、映像作品にも出演できれば、ウチの団体としてもうれしいです」
もう一つ、10月に思わぬ出会いがあった。
「俺、35年ほど前に最初の結婚をして、1年ちょいで離婚してるんです。生後8カ月の娘を残してね。そしたら9月末にいきなり、その子から店に『母とお邪魔してもいいですか?』って電話があって、本当に来てくれたんですよ」