
「一歩間違ったら大けがをしていた」
在京球団でプレーする外野手は、防球ネットがない観客席が設置された球場でのプレーに神経を使っていることを明かす。
「全速力で走って捕球しようとしたら、お客さんとぶつかって腕を引っ張られました。一歩間違えたら大けがしていたかもしれない。怖かったですよ。相手チームを応援するお客さんがファウルボールを捕って、こちらに向かってガッツポーズをしてきたときもありました。プレーを妨害する行為は見過ごしてはいけないと思います。選手たちは一つのプレーに人生が掛かっていますから。個人的には防球ネットを取り付けてほしいです」
SNS上では、選手が捕球態勢に入っているにもかかわらず、観客がファウルボールを捕球した映像が拡散され、「妨害行為をする観客は球場を出入り禁止にすべき」、「マナーの悪い客がいるのでペナルティーをもうけたほうがいい」という指摘が見られる。
公認野球規則には「観衆の妨害」という項目があり、「観衆が飛球を捕らえようとする野手を明らかに妨害した場合には、審判員は打者に対してアウトを宣告する」と明記されているが、「このルールを適用するケースが少ない」とスポーツ紙記者は指摘する。
「防球ネットがない観客席の中に守備側の選手が手を伸ばして捕球しようとしたとき、観客が捕球したら妨害にはなりません。観客はスタンドで身を守るために捕球したという解釈になります。ただ、明らかな妨害行為には処分を検討すべきだと思います」
メジャーリーグでは、観客の妨害行為に厳しい処分が下されている。ドジャースとヤンキースが対戦した昨年のワールドシリーズでは、第4戦の初回にヤンキースの先頭打者のグレイバー・トーレス(現タイガース)が右翼ポール際に飛球を放った際、ヤンキースファンの2人がドジャースの右翼を守るムーキー・ベッツのグラブをつかみ、捕球したボールを取り出した。ファン2人は警備員に連れ去られて退場処分となり、その後にメジャーの全球場で無期限の追放処分になったことが報じられた。