松下さんが「うわ、本物だ」と感激したという作品。《画家としての自画像》1887年12月-88年2月(撮影:写真映像部・東川哲也)※作品はファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
松下さんが「うわ、本物だ」と感激したという作品。《画家としての自画像》1887年12月-88年2月(撮影:写真映像部・東川哲也)※作品はファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
この記事の写真をすべて見る

 世界中で愛されている画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-90)。その才能を信じ、支え続けたゴッホ家の歴史に焦点をあてた日本初の展覧会が開催中だ。AERA 2025年8月25日号より。

【写真】松下洸平さんが特に印象に残ったという作品《オリーブ園》はこちら

*  *  *

 展覧会サポーターを務めるのは、俳優やシンガー・ソングライターとして幅広く活躍する松下洸平さん。音声ガイドでゴッホの人生や作品の解説もしている。会場の大阪市立美術館で話を聞いた。

「やっぱり本物に触れるというのは大切なことだなと思いましたね」

 ゴッホの作品を間近で鑑賞した松下さんは、穏やかながらも、熱のこもった表情で語る。

 展示作品の中では特に《オリーブ園》が印象に残ったといい、「絵の具がのっている質感や、写真では伝わらない細かい色の変化も見ることができた。思い入れのある風景だったのだろうなということを感じられました」。

 松下さんの母親は画家で、自宅で絵画教室を開いていた。

「母親の作品だけではなく、生徒さんたちの作品もたくさんありました。家の中は絵で溢れていて、画材もたくさんあった。物心ついた時から誰に勧められるわけでもなく、遊びながら絵を描いていた記憶があります」

 子ども用の油絵の具を買ってもらった時には「ちょっと大人になった気がして、すごく嬉しかったのを覚えています」。大人になったら芸術に携わる仕事に就くのだろうと感じていたという。

下積み時代は悩んだ

 美術科の高校に進学したのち、俳優の道を志した。NHK大河ドラマ光る君へ」など活躍の場を広げる松下さんだが、下積み時代には「自分がやっていることは間違っているのでは」と悩んだ時期もあったという。

《オリーブ園》 1889年11月 ゴッホは南仏を表す樹木としてオリーブを重要なモチーフに位置づけていて、1889年の11月から12月にかけてオリーブ園を9点描いた(撮影:写真映像部・東川哲也)※作品はファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
《オリーブ園》 1889年11月 ゴッホは南仏を表す樹木としてオリーブを重要なモチーフに位置づけていて、1889年の11月から12月にかけてオリーブ園を9点描いた(撮影:写真映像部・東川哲也)※作品はファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
次のページ 母の応援が大きな力に