
森山幹事長辞任が辞任しても…
参院選の総括が終われば、森山裕幹事長は職を辞する意向を示している。
「森山氏が交代となっても石破首相には切り札、ウルトラCがある」と話すのは、自民党の閣僚経験者のA氏だ。それは、小泉進次郎農林水産相の幹事長起用で起死回生を図るプランだという。
江藤拓農水相(当時)が、高値が続くコメについて、「私はコメは買ったことはない。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどある」などという失言で辞任。後任となった小泉氏は、備蓄米を随意契約で放出し、米価格を下げることに、一時的とはいえ、成功した。
「小泉氏が幹事長になれば、自民党の支持率は上昇するだろう。もともと2人は4年前の総裁選で『小石河連合』として協力してきた関係にもある。そんな時に、石破おろしなんてやっている議員は、次の選挙が危うくなる。誰も石破辞めろとは言わなくなる」(前出・A氏)
2003年、小泉氏の父・純一郎氏が総裁時代に安倍晋三氏を幹事長に抜擢。安倍氏が首相になる大きなきっかけになった。小泉親子とも親しい田村氏はこう話す。
「昨年の総裁選では本命視されながら負けた小泉氏。ただ人気があるだけでは首相にはなれないことを痛感している。石破内閣の閣僚だし、幹事長にと打診があれば断る理由もない。小泉氏にとっても幹事長となれば人気プラス、党内基盤を作れ、貴重な経験もできるので大歓迎でしょう」と話す。
「石破おろし」にはもう一つの「関門」があると田村氏は見る。総裁選管理委員会の定員は11人だが、現在は6人が欠員になっているという。委員長の逢沢氏は、定員をそろえた上で、今後の対応を進めていく方針だが、このメンバーが鍵だという。
「旧安倍派など石破おろしに声高な議員が多く補充されると、前倒しに傾く。自民党の支持率は旧安倍派の裏金事件が大きく影響しているので、そこは公平に選任されるはず。石破内閣の世論調査の数字がアップしており、石破おろしより、続投の支持が勝っている。総裁選管理委員会のメンバーに、中立的な議員が多くなれば、まだ昨年の衆院選から1年も経過していないこともあり、総裁選前倒しにならないのではないか」
「自民党の歴史の中にもこういう経験がない」(逢沢氏)だけに、思惑がうごめいているようだ。
(AERA編集部・今西憲之)
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