自民党も立憲民主党もお互い「オワコン」同士
自民党同様「オワコン」だと立憲の議員が自認するというまさに終わった状況だ。こんな政党が選挙をやっても勝てるはずがない。野田氏の窮状を察知した石破首相は、あわよくば立憲を抱き込もうと誘いをかける。
これから先、何が起きるのかわからないが、見えてくるのは、自民内の石破おろしが国民の総スカンを食らって勢いを失う一方、立憲の野田代表がNACO(NODA ALWAYS CHICKENS OUT/野田はいつもビビって後退する)と揶揄されるとおり、不信任案を出せないので、石破氏はそれを利用して、野田氏の顔を立てながら、とりあえず補正予算の成立を図る。
立憲が不信任案を出せないとわかっている維新も、安心して石破政権との連立入りの交渉ができる。石破氏が立憲との天秤にかけるふりをすれば、維新は見捨てられることを恐れて連立入りを急ぐだろう。
自公維政権なら、衆参で過半数を確保できるので、維新との関係さえうまくやれば、これから3年間選挙をしなくて済むかもしれない。意外な長期政権への望みが出てきたと石破氏は捉えているのではないか。
一方、維新が連立に入った途端、立憲の野田代表は自民と維新への批判を強め、与党過半数で否決されるのを分かった上で、安心して内閣不信任案を提出するということになるのだろう。闘ったふりをするわけだが、そんなことでは立憲の党勢回復はできない。前述の江田氏のコラムで、同氏は、「今回の敗因は、率直に言って、『党首力』『政策の訴求力』『SNSの発信力』等において、国民民主や参政党の後塵を拝したことだと考えています。このままでは我が党は『じり貧』で、政治の大きな流れからも取り残され、とても次期衆院選では選挙を戦えないでしょう」と悲観論を展開している。
自民も立憲もお互いオワコン同士。実は、今回の参院選前の7月5日、インターネット番組「選挙ドットコムちゃんねる」で、野田氏が隣に座った石破首相に「売れない演歌歌手みたいなのが2人並んでしまった」と発言したのだが、その時点では、立憲はかなり議席を伸ばすと予想されていた。この言葉は冗談のつもりだったのだろうが、蓋を開けてみれば、真実だったことが判明したわけだ。
3年間選挙なしの自公維連立シナリオは、石破氏辞任で小泉進次郎農林水産相に首相が交代しても実現可能だ。一方、高市早苗前経済安全保障相の場合は、先週配信の本コラムで書いたとおり、とりあえず国民民主と参政との連携(連立ではない)で進み、衆議院選挙の後に本格的な自公国参連立になる可能性が高い。維新も入る可能性があるが、いずれにしても相当右傾化を強めた政権になるだろう。