SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC
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SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC

大口径超広角MFレンズ

 最近では各社ともに超広角の大口径レンズのラインアップの拡充に力を入れているが、韓国のサムヤンオプティクス(三洋オプティクス)もそのひとつ。

 今回使ったのは、標準レンズ並みの開放F値の単焦点20ミリレンズ。35ミリ判フルサイズ対応の本格派だ。MFレンズで、マウント部には電子接点もなく、自動絞りにも対応していない割り切ったシンプルな仕様になっている。国内のレンズメーカーや純正の交換レンズと比較すれば半分以下の価格設定で買いやすいことは確かだ。ただ使いづらいのはたしかなので、将来的には、せめて自動絞りくらいは採用すべきだろう。

 もっともレンズ構成を見てみると、EDガラスや非球面レンズも使った13枚構成。カメラ内の画像処理に頼れないぶん、徹底した収差補正が行われているようで、その描写に廉価なレンズという印象はない。大口径の超広角レンズはMFだとフォーカシングが難しい。昨今の一眼レフのファインダーは明るすぎ、特に絞り開放値近辺でのフォーカスの追い込みには苦労する。特に1.5~2メートルくらいだとフォーカスのヤマがつかみづらく、使いこなしには工夫がいる。

0.2メートルの最短撮影距離で絞り開放に設定。屋外に飾られていた25センチくらいの人形に肉薄した。20ミリとはいえ、ここまで寄ると被写界深度は浅いが、合焦点はシャープ、コントラストも良好。ボケも大きく「画角は広く深度の浅い」個性的な描写になる● キヤノンEOS 5D MarkIV・AE(絞りf1.8・500分の1秒・-0.3補正)・ISO100・AWB・JPEG
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0.2メートルの最短撮影距離で絞り開放に設定。屋外に飾られていた25センチくらいの人形に肉薄した。20ミリとはいえ、ここまで寄ると被写界深度は浅いが、合焦点はシャープ、コントラストも良好。ボケも大きく「画角は広く深度の浅い」個性的な描写になる● キヤノンEOS 5D MarkIV・AE(絞りf1.8・500分の1秒・-0.3補正)・ISO100・AWB・JPEG

デザイン
キヤノンEFマウント用を使ったが、手動絞りであり鏡胴に絞り環がある。フォーカスリングの幅も適宜でトルク感も良好。サムヤンのレンズに共通する鏡胴の赤ラインが印象的

使用感・操作感
大口径レンズだが軽量。手動絞りだから絞り込むとファインダーは暗くなる。日中では被写界深度の深さを生かした目測撮影もできるが、正確なフォーカシングには適宜ライブビューを使用したい

描写性
逆光の光源の位置によっては鏡胴内の反射だろうか、わずかなハレーションが見られる。ただし、基本的には周辺まで均質性のよい優秀な画質。歪曲収差の補正も良好。開放絞りも実用で使える

◆赤城耕一

●焦点距離・F値:20ミリ・F1.8●レンズ構成:12群13枚(EDガラス3枚、非球面レンズ2枚)●画角:94.8°(フルサイズ用)●最短撮影距離:0.2メートル●最大撮影倍率:0.1倍●フィルター径:φ77ミリ●マウント:キヤノンEF/EF-M、ニコンF、ソニーA、ソニーE、マイクロフォーサーズ、富士フイルムX、ペンタックスK●大きさ・重さ:φ83.0×88.4ミリ・497グラム(キヤノン用)●価格:オープン(実売7万2100円)●URL:http://www.samyanglensglobal.com/