中軸として活躍しているタイラー・ネビンの契約延長に注力した部分はあったかもしれないが、優勝争いに加わるためにもオフにはさらなる戦力強化に動く必要があるだろう。

 一方のセ・リーグでやはり気になるのはヤクルトだ。開幕前から故障者が続出したこともあったが、圧倒的な最下位に沈んでおり、Aクラス入りは絶望的な状況となっている。若手を抜擢したくても二軍は一軍以上に低迷しており、投手も野手もかなり手薄な状況となっているのだ。

 トレードで西武から山野辺を獲得し、7月31日にはマイナーリーグでプレーしていた青柳晃洋を獲得したが、支配下登録の枠はあと1人余っている中で補強が終了となったのは圧倒的最下位のチームの姿勢として疑問を感じたファンも多かったのではないだろうか。

 そんな中、8月5日には右肘の故障で離脱していたドミンゴ・サンタナが今季絶望というニュースも出ており、チームはさらに厳しい状況となっている。主砲の村上宗隆がようやく復帰してホームランを量産しているものの、オフにはメジャー移籍が濃厚だけに、最下位からの巻き返しを狙うにはかなりのテコ入れが必要になりそうだ。

 セ・リーグでは広島も少しちぐはぐな補強になったように見える。新外国人のサンドロ・ファビアンが開幕当初から戦力になったのは大きなプラスだが、投手では先発候補のジョハン・ドミンゲスがここまでわずか1勝で二軍調整が続いている。

 さらに抑えのテイラー・ハーンも昨年のような安定感がなく、勝ちパターンが確立できていないのが現状だ。シーズン開幕当初はもう1人外国人調査の獲得に動いているという報道もあったが、結局見送りとなり、最終的に補強は育成ドラフト出身の辻大雅、前川誠太の2人を支配下昇格させて終了となっている。

 昨年は9月、今年は7月に大きく失速しており、投手も野手も層の薄さは課題だけに、もう少し開幕後に補強に動いても良かったのではないだろうか。

 駆け込み補強が大成功する例は決して多くはないかもしれないが、現役ドラフトの結果を見ても移籍によって大きく花開く選手がいることは確かだ。それを考えてもオフには活発な動きが出てくることを期待したい。

(文・西尾典文)

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