精神科や心療内科を受診するのはハードルが高く、かかりつけの医師がいる場合には、その先生に漢方治療の可能性について相談するのも手です。現在では9割の医師が漢方薬を日常的に使っている時代ですから、漢方薬をよく処方する先生もいらっしゃると思います。

 中には西洋病名に基づいて機械的に漢方薬を使っている先生もいます。例えば機能性胃腸症に六君子湯(りっくんしとう)や、便秘に大建中湯(だいけんちゅうとう)など、かなり幅広く使われています。メンタル不調であれば、不眠に抑肝散(よくかんさん)や、咽喉の詰まりに半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などが、よく処方されます。

 それで効かなかった場合に、次の処方に変えてもらうか、もしくは医師のほうから「漢方のことは漢方に詳しい先生を受診してください」と言われる場合もあります。その場合に参考になるのは、日本東洋医学会のホームページhttps://www.jsom-member.jp/jsomWebMember/html/senmoni_kensaku_search.htmlもしくは日本臨床漢方医会のホームページhttps://kampo-ikai.jp/doctor/が参考になります。その他種々の雑誌でも漢方に詳しい医師が紹介されていますので参考にしてください。

 当院・大塚医院のように漢方専門でやっている診療施設もあります。保険診療の範囲では、漢方専門とは標榜できないので、漢方内科を標榜していることが多いです。この漢方専門診療施設にも保険診療でエキス製剤のみでおこなっている場合と、保険で使える生薬も使っている場合があります。

料理人と食材の関係のようなもの

 漢方薬の効果は医師の腕によるところが大ですが、生薬の品質にも大きく左右されます。たとえていえば料理人と食材の関係のようなものです。料理人の腕がどんなによくても食材がよくなければおいしい料理は作れません。

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