「逮捕者は贔屓クラブからも『出入り禁止』処分を下されている」という情報もある。今回、フロンターレから同様処分をされても、その他クラブの試合に入場して同様行為をする可能性もある。

「海外とは文化の違いとか歴史も違うので、より日本が強くなることを考えたら、みんなの思い、サッカーを知らない人たちからも応援して、見に来たいと思われるようなイベント、興行にしないといけないと思います。殺伐としたダービーは、海外に任せるくらいでもいいと思います」(田中パウロ淳一/7月26日付『FOOTBALL ZONE』)

 同日のJ3:栃木シティvs.栃木SC戦の試合後、田中は『ダービーマッチ』の在り方について語った。栃木SCのファン・サポーターが、栃木シティを侮辱する行為を行ったことに対してだった。

「勇気ある発言をしてくれた。多様性の世の中、様々な考え方を持った人がいるのは理解できる。しかし今こそ、Jリーグ発足時の初心に戻りたい。時代がどうだろうと、日本人最大の武器である『思いやり』『優しさ』をなくす必要はない。サッカーが強い、弱いとは別次元の問題」(Jリーグ関係者)

 欧州・南米のサッカー場では、ファン・サポーターの暴動によって何度も死亡事故・事件が起きている。そういった歴史からも学習して同じ轍を踏まないことで、日本サッカー界や贔屓クラブ繁栄に繋がるはずだ。

 現状、生まれつつある“負の連鎖”を全力で断ち切り、本来の流れに戻す必要がある。日本社会の先行きが不透明な今こそ、スポーツの世界に明るい光を見出していきたいものだ。

(文・スポーツライター 田中雄也)

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