唯一不安があったとすれば、今回はとくに自然災害のシーンでCGを多用しているので、「本当に日本映画でできるのだろうか?」という気持ちはありました。ですが、完成した作品を観ると素直に「すごいな」と思えるものに仕上がっていた。アクションのなかに人間の美しさが描かれた、素晴らしい映画だと心から思いましたね。
──現在42歳。俳優としてのこれからをどのように思い描いているのだろう。
「どう老けていくか」。僕はそのことを考える時期に来ていると思っています。幸運にも俳優は老けることも仕事の一つであり、武器にもなりえるので、「中身も外見も、どのタイミングでどれくらい老けていくか」ということに、僕はいま興味があります。
視聴者の方々は、作品を通してのイメージでジャッジされるので、自分が何もしなければ世の中のイメージはそこで止まってしまう。だからこそ、どこかのタイミングで積極的に“老い”を提示していかないと次に進めないと思うんです。「TOKYO MER」の喜多見は生き生きとしたキャラクターですが、精神的にも肉体的にも年齢を重ねていくなかで、今後どのように老けていくかは僕自身も興味があるところです。
以前から「30代はこういうことをやっていきたい」「40代はこんな役をできるかな」と考えることはありましたが、いざ40代になると「じゃあ50代に向けどんな役を演じていきたいか」をより深く考えるようになりました。若く生き生きした役を50代で演じる方法もあるし、50代にふさわしい、落ち着いた大人の役を演じるやり方もある。もしくは、60代でやるような役を50代からやっていく方法もある。まだ考え始めたばかりではありますが、そうしたことを含めやっぱり俳優って面白いな、と思いますね。
(構成/ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2025年8月4日号より抜粋
こちらの記事もおすすめ 【もっと読む】鈴木亮平が西郷隆盛に影響を受けて作った“オリジナル四字熟語”とは 「演技だけでなく中身も成長していれば、必ずどこかで道が拓けていく」