樺沢紫苑さんの著作『勉強脳』
樺沢紫苑さんの著作『勉強脳』

 今の自分の成長に最も必要なものを学ぶことで、自己成長を最大化できる。これが「守破離適合」の考え方です。情報も知識も、「今」の自分に必要なものを集め、吸収すべきなのです。そうでなければ、それは「成長」のためのエネルギー、栄養になりません。

 初級者が上級者向けの内容を学ぼうとすれば、難しくてついていけません。上級者が初級者向けの内容に接しても、「全部知っている話」で新しい学びは得られません。「守破離不適合」は、自己成長につながらないだけでなく、お金と時間のムダなのです。
 

まず己を知る〜「孫子の兵法勉強法」

 兵法書『孫子』に「彼を知り、己を知れば、百戦殆うからず」という言葉が出てきます。

「敵を知り、自分を知れば、100回戦っても負けることはない」、敵の実力、戦力を詳しく分析すること、そして、自分の実力、戦力を分析することが大切であるという意味です。

「己を知らない」状態で勉強を始めると、「守破離不適合」状態に陥り、成長につながらない勉強になってしまいます。守破離レベルを適合させた勉強をしていくために、今の自分が、守破離のどのステージにいるのかを把握することが必要です。

 これを客観的に把握することは、とても難しいことです。なぜならば、能力のない人ほど、自分の能力を過信してしまう「ダニング=クルーガー効果」のせいで、「守」のステージの人ほど、「離」のステージの勉強をしたがるからです。

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