
効率的な学習のためには、自分のレベルに適した教材を選ぶことが重要だ。しかし、自分に合わない本を選んでしまうと、時間とお金を無駄にするだけでなく、学習意欲の低下を招く「悲劇」になりかねない。これまで700回を超える講演・セミナーを開催して10万人以上に講義をしてきた精神科医の樺沢紫苑さんは、茶道や武道で重視される「守破離」(基本習得→応用→独自スタイル確立の段階)と自分の学習レベルのミスマッチが原因だと分析する。樺沢さんの新刊『勉強脳』(サンマーク出版)より、成長につながる本の選び方を抜粋する。
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「知っていることしか書かれていない」のは誰の責任?
ネット書店のレビューを読むと、「自分の読みたいことが書かれていない」「知っていることしか書かれていない」という批判をよく見かけます。私の本にもそうしたレビューが書かれていますが、著者の立場から言わせていただければ、「なぜ、自分が読みたいことが書いていない本を買うのか」疑問です。
書店に行って本を手にとり、目次を読んで、全体をパラパラめくって、「読みたい!」と思うから、わざわざお金を出して本を買うわけです。ネット書店で注文する場合も、本の紹介欄に詳しい目次が書かれている場合が多く、もし書かれていなくても「無料読み」のコーナーから、「目次」を含む本の最初の部分をチェックすることができます。
「自分の読みたいことが書かれていない」というのは、本を買うときに「本を選ぶ」作業をしていないということ。自分の読みたいことが書かれていない本を買うのは、著者の責任ではなく、本を買う人の責任です。
本を買って、自分の読みたいことが書かれていない、あるいは、本を買っても勉強になることが書かれていないのは、「守破離不適合」を起こしているからです。

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