情報番組のコメントを収録中。米騒動のときはテレビのカメラが何台も集まり、囲み取材になったという(写真/岸本絢)
情報番組のコメントを収録中。米騒動のときはテレビのカメラが何台も集まり、囲み取材になったという(写真/岸本絢)

 そう話すのは、近くの上石神井駅前で「旬創酒場 べっぴん」を経営する常連の榎本大介とかすみの夫婦だ。以前、大介が居酒屋に勤めていた17~18年前から、アキダイのお得意様。秋葉とも顔見知りで、独立して店を出したときには、出店の相談に乗ってもらったこともあるという。

年間300本以上コメント デビューは1999年

 お客さんとやりとりしながら、呼び込みを続ける秋葉の声がときどき聞こえなくなるのは、だいたい昼過ぎからだろうか。フジテレビ、テレビ朝日、読売テレビなど午後の番組の撮影クルーが、秋葉へのインタビューを始めるからだ。

「この猛暑が野菜へ与える影響は?」

「逆に猛暑でおいしくなった野菜は?」

 など、ぶっつけ本番で投げかけられる質問に、秋葉が店内の商品を見せながら答えていく。ちなみに6月の猛暑は、安かったブロッコリーの値段をつり上げ、旬のサクランボもかつてないほど高額に。一方、葉物野菜はこの先の猛暑を予測して、大量に出回り、一時の高値がウソのように値段も下落。ナスも猛暑でかえっておいしくなっていた。

「野菜は一番安いときが一番おいしい。今のうちに、たくさん食べておいてくださいね」

 そうして店にいながらにして、年間300本以上の情報番組に出演する青果界きっての売れっ子コメンテーターだ。

「困っている人の力になって、喜んでもらうことがうれしいんですよ。お客さんに喜んでもらうのもそうだし、取材のみなさんにも、来てよかったと思ってもらいたいじゃない」

 そんなサービス精神に支えられた秋葉のコメンテーターのデビューは、本人の記憶によると1999年にさかのぼる。所沢のホウレンソウからダイオキシンが検出されたという誤った情報がテレビから広まり、風評被害から所沢産のホウレンソウが1束10円まで下落してしまったときのことだ。

「まだアキダイなんて誰も知らない時代だったけど、所沢の市場でコメントを求められて答えた記憶がある。何て言ったかなあ。生産者を守って、みたいなことだったんじゃないかな」

次のページ すぐにコメントをくれるというフットワークのよさ