MLBオールスターゲームを前に、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(17)を出迎えるロサンゼルス・ドジャースのフレディ・フリーマン一塁手(5)=2025年7月15日、米・ジョージア州カンバーランド(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
MLBオールスターゲームを前に、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(17)を出迎えるロサンゼルス・ドジャースのフレディ・フリーマン一塁手(5)=2025年7月15日、米・ジョージア州カンバーランド(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

 データサイトFanGraphsの予測では、ドジャースがポストシーズンに進出する確率は99.4%、ワールドシリーズ制覇の確率は21.2%。いずれも全30球団で最高値だ。つまり、大崩れがなければポストシーズン進出はほぼ確実。その先を見据えた戦いが、すでに始まっている。

照準は10月

 少なくとも、現時点でドジャースにとって「大谷の投球が不可欠」という状況ではない。打者として日々試合に出場して攻撃の柱となっていることが最大の貢献だ。だからこそ、球団も無理に投球量を増やして調整のピッチを早めるようなことはしない。あくまで照準は10月なのだ。

 短期決戦のポストシーズンでは、運の影響が大きくなる。データ予測では優勝候補筆頭のドジャースだが、それでも優勝しない確率の方が高い。優勝の確率を高めるのが、相手を圧倒できる球と安定感を兼ね備えたエース級投手の存在。大谷と山本由伸という日本人二人が、ドジャースにとって「切り札」になるかもしれない。

 ワールドシリーズで投げる可能性を聞かれた大谷は、「ボリューム(投球の量)をまず出していくのが先だなとは思うので、それをやった過程で、いっぱいたくさんいいピッチャーがいますし、もしそうなった時に自分を選んでもらえるようなパフォーマンスをまず出せる準備をしたいなと思います」と答えた。

 野球にあまり関心のない人が、一年で唯一、注目する瞬間がポストシーズンだ。その大舞台で、大谷がマウンドに上がり、自ら本塁打を放つ──そんな“フィクションのような展開”が現実となれば、アメリカは「大谷フィーバー」に包まれるかもしれない。

(在米ジャーナリスト・志村朋哉)

AERA 2025年7月28日号より抜粋

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