
「味の素」などのうま味調味料を使うことで批判を受けることもある、料理研究家のリュウジさん。うま味調味料を使う背景には、料理を広めたいという強い思いがありました。自身の料理哲学を語りつくした最新刊『孤独の台所』(朝日新聞出版)より、一部を抜粋してお届けします。
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こうして俺の初めてのレシピ本『やみつきバズレシピ』(以下、『バズレシピ』)が誕生しました。
表紙の写真はSNSでめちゃくちゃバズった「無限キャベツ」で、裏表紙はサバ缶を使った「絶品サバカレー」でした。
いま振り返ってみると衝撃的な一冊だったと思います。
なんといっても最初の「無限キャベツ」からうま味調味料を使っていいと書いてあるからです。
キャベツの千切りにお湯をかけて、お湯を切ったあとにごま油、しらす、うま味調味料に塩、コショウを和えて終わりという簡単レシピですが、SNSで発表したときから実際に作ってうまかったという声が殺到したので、本にも収録したのです。
これが誕生したのは、友達と家で飲み会をやっているときでした。
冷蔵庫に安売りのキャベツがあったので、酒のつまみに千切りキャベツでも食べるかと思ったけど、生だとごわごわしてしまってすぐに食べ飽きる。だったら、とお湯をじゃっとかけてみて、たまたま残っていたしらすを加えたら大当たり。うまい、うまいと言ってみんなが食べてくれたんです。
家族でも友人でも、誰かが食べて喜んでくれたら嬉しい。そんな原体験があったので、堂々と載せました。
その次のページで紹介した「大根のから揚げ」も、家族みんなが喜んでくれたという声が届いたレシピです。
市販の白だしで大根をじっくり煮て、片栗粉をまぶして揚げるというもの。大根を煮るのが手間ならコンビニのおでんでもいい、とはっきり書いています。
いくつか載せたカルボナーラのレシピも、具材の組み合わせによってはコクやうま味が物足りなくなるので、顆粒コンソメでうま味をプラスしました。