
神谷代表は「優秀な自己啓発セミナーの講師」
自分たちとは異なる人種の人に対して、何となく怖いとか嫌だなと感じること自体は珍しくありません。ただ今の時代は、日本の国力低下、円安によって外国人が次々に入ってきて、自分たちはなかなか手を出せないような高級料理を食べ、ブランド物を買いあさっていく。日本にいながら格差を見せつけられるのです。そこに参政党が刺さっていると考えています。もちろん自民党や国民民主党の票も一部流れるでしょうが、これまで選挙に行っていなかった人が参政党に投票するので、今回の選挙は結果に影響を及ぼすレベルで投票率が上がると思います。おそらく3~5%くらい、票数でいうと300万~500万票。その大部分を参政党が取ることになると予想しています。
さて、私は一時期、参政党代表の神谷さんとよく一緒に仕事をしていました。人物像を言うとすれば、「優秀な自己啓発セミナーの講師」です。「世の中を変える、人生を変える!」みたいな話はうまいですが、具体的な知識やビジョンはあまりありません。もし参議院で10議席以上持つことになれば、単独で法案提出が可能になります。参政党はワクチン薬害、給食の有機農業化、スパイ防止法、インバウンド規制など、自分たちの主張に沿ったそのときどきでホットなイシューに手を出していくと思いますが、そこには、ネット右翼にすらあった思想的・理論的な統一性はありません。
参政党の伸長を懸念する声も多く聞かれます。ただ、これまでの参政党の歴史を考えても、早晩内紛が起こるかもしれませんし、既に政治資金規正法等に引っかかりそうなスキャンダルも報じられ始めています。また、支持層の大半が政治的な信念を持っていませんから、新しい党が出てきたらそちらに移っていくはずです。一方で、私が懸念しているのは議席を減らした既成政党が、次の衆院選でより過激な外国人排斥政策を打ってくることです。例えば高市早苗氏が次の総理になれば、自民党が「日本人ファースト」をより戦略的に練り直して打ち出してきても不思議ではない。そうなると次の衆院選で自民大勝もあり得るし、外国人排除の法案もいくらでも可決されてしまいます。それがいま、一番恐れていることです。
(聞き手・構成/AERA編集部・川口穣)
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