
テレビ業界の隠蔽体質を目の当たりにした
――フジの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスが6月25日に定時株主総会を開いた際、響子さんは会場外で株主たちにチラシを配り、フジが裁判で不誠実な態度を取り続けていると訴えました。大胆な行動に出た理由はなんですか。
フジが裁判を無意味に長引かせている間に、花の事件が社会から忘れられてしまうという危機感がずっとあるんです。株主の中には、「テラスハウス問題はこのままじゃだめだよね」「応援しているよ」とチラシを受け取って下さる方もいました。でもこれまでのネット上の反応などを見ていると、世間では私がフジに裁判を起こしていること自体を知らない方が非常に多い印象です。
当初から取材を受ける際は、フジや制作会社の問題と、社会に蔓延(まんえん)する誹謗中傷の問題の両方を訴えてきました。でも前者について取り上げてくれるのはまれです。一度、とあるワイドショー番組から生出演のオファーがあったのですが、結局実現しませんでした。今後自社で似たような問題が発覚したらまずいからと、上層部のストップがかかったそうです。テレビ業界全体の隠蔽(いんぺい)体質を目の当たりにしました。
――最愛の娘を失った後、大企業相手の裁判に身を投じるのは、心身に甚大な負担がかかるのではないかとお察しします。
花が亡くなった後、夜まともに眠れない日々が4年間続きました。花から最後に連絡が来たのが午前3時17分で、その時間が来るのが怖くて、寝てもすぐに目が覚めてしまって。病院に行けばよかったのですが、病院という存在自体に花が搬送された最悪の記憶がまとわりついていて、心が拒絶していました。今でも救急車のサイレンの音を聞くと、トラウマがよみがえって一瞬フリーズしてしまいます。