シンガポールの観光名所の一つ、マーライオン(花輪さん提供)
シンガポールの観光名所の一つ、マーライオン(花輪さん提供)
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 芸能人を含め、多くの日本人が移住しているシンガポール。節税が魅力というが、具体的にはどの程度なのか、現地に住んで10年になるファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子さんに、物価や子どもの教育、移住するうえでの注意点など、詳しく聞いてみた。

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 数々の著書の他、世界に名高い投資家であるジム・ロジャーズさんの書籍をいくつも翻訳したことでも知られるFPの花輪陽子さんは、夫のシンガポール赴任を機に2015年6月から、当時1歳の長女も含めた家族全員で同国へ移住した。当時はまだリモートワークが普及しておらず、FPの仕事にも制約が生じることや幼子を連れての海外暮らしなどに不安を感じたが、家族でいっしょに暮らしたいとの思いが強く、悩み抜いたうえで決断したという。

 外務省によれば、シンガポールの人口は2022年の時点で約564万人。その内訳はシンガポール人・永住者が407万人で、残る157万人が外国人だ。なお、2024年10月1日時点で同国で暮らす日本人の数は3万2565人に達している(在シンガポール日本国大使館の在留邦人数調査統計)。

 157万人の外国人には、母国企業から派遣された駐在員や現地の企業に勤める人たちだけでなく、シンガポールで暮らすメリットに着目して移り住んでいる富裕層も少なからず含まれている。さらに、彼らの中には永住権を獲得した人もいる。

 ジム・ロジャーズさんもその一人で、2007年に家族とともに米国から移住した。日本人も例外ではなく、村上ファンドを率いて一世を風靡した村上世彰さんが筆頭に挙げられる。事情は人それぞれではあるものの、シンガポールに移住してきた富裕層の多くは、節税を目的としているとの印象が強いと花輪さんは指摘する。

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