
「シンガポールでは相続税や贈与税が課されず、株式などの売買で得られたキャピタルゲイン(売却益)も非課税になります。また、所得税は日本と同じく、所得が多いほど高くなる累進課税になっていますが、その最高税率は24%ですし、法人税も17%で日本よりも税負担が軽くなっています」
日本における所得税の最高税率は45%で、普通法人に適用される法人税率は23.2%だから、確かにその差は大きい。しかも、シンガポールの居住者になっても、日本で給付された公的年金のように、国外で発生した所得に対して、同国の所得税が課されることはない。
もちろん、前述した公的年金に対しては、日本の所得税がかかることになる。だが、日本国籍を持っていても「非居住者(日本に住んでいない人)」と認められれば、海外で得られた所得に対し、原則として日本の税金は課されない(所得が発生した国の税金はかかる)。
「相続税や贈与税に関しても、与える人と与えられる人の両者が日本国外に10年以上居住していれば、海外で所有している財産に対して日本で課税されないのが原則です。シンガポールのように相続税・贈与税がかからない国に住んでいると、日本でもシンガポールでも課税されないというケースも出てきます。ただし、非居住者と判定されるには、海外に一定期間以上在住し、海外に生活の拠点を置いていることを証明できなければなりません」
シンガポールではキャピタルゲインのみならず、インカムゲイン(株式の配当などで得られた利益)も原則として課税されないという。資産運用においても、日本と比べてはるかに有利なのだ。
「日本と比べて金利水準もはるかに高く、銀行の給与振込先口座にお金をプールしたままにしておくだけでも5%程度の利息がつきます。株式の配当利回りについても、5%程度に達しているケースが珍しくありません」