失礼ながら、リュウジさんの事務所は今も昔もとっ散らかっている(撮影・松永卓也/朝日新聞出版写真映像部)
失礼ながら、リュウジさんの事務所は今も昔もとっ散らかっている(撮影・松永卓也/朝日新聞出版写真映像部)

 ここでリュウジさんに意地悪な質問をした。

 ものすごくまずい調味料だけどギャラ1000万円のオファーなら受けますか?

「受けます。僕はどんなものでもおいしくできるから。その調味料に足りない部分を別の調味料で補ったりして、元の何倍もおいしくする自信がある」

 かっこいい。そんなリュウジさんでも、受けなかった案件があるという。

「食品大手です。化学調味料を使うなって条件を出されました。

 もちろん、化学調味料が必要ないレシピなら使いませんが、その案件の場合は入れたほうがおいしくなることがわかっていた。

 なぜ鶏がらスープのもとはOKで化学調味料がダメなのか聞きましたが、納得できる回答が得られなくて。そんな仕事は受けられないなと思った」

実力勝負の店を

お金、貯めとかなきゃ」。過去の取材でリュウジさんは何度かこう言っていた。

「僕なんかいつ消えてもおかしくない。泥酔して明日、不祥事を起こすかもしれない。嫌われたら飲食店を開いて自分の好きなものを出して食べていこうかな」と。

 嫌われるどころかファンは増えるばかりだが、リュウジさんの店には行ってみたい。

 出店のメドは? どんな店を?

「お店、出したいですね。味や雰囲気などの実力で勝負したいので、僕の名前は一切出さずに。アクセスが不便な場所でやりたい。おいしいからお客さんがわざわざ足を運んでくれるような。

 僕がずっと店に立つのは難しいから、いい料理人が必要……となると今は絶対に無理だろうなぁ」

 失礼ながら、リュウジさんの事務所は今も昔もとっ散らかっている。掃除は苦手?

「掃除、好きじゃないです。意味ないもん。散らかってても気にならないし」

 掃除の人に頼もうと思ったことは?

「それはそれで嫌なんですよね。だって勝手に(モノを)動かすじゃない」

 いや動かさないと掃除ができない……。

「みんなにとっては散らかってるかもしれないけど、僕にとってはしかるべきところにしかるべきものがあるわけだから、整理整頓できてるのと同じ」

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