「キャリアの一つとして女性に政治を考えてほしい。やればなんとかなるから」と、政治の魅力を伝える(撮影/倉田貴志)
「キャリアの一つとして女性に政治を考えてほしい。やればなんとかなるから」と、政治の魅力を伝える(撮影/倉田貴志)

 森澤は20~30歳代と職を転々とし、結婚子育てで再就職の壁に阻まれ、多くの同世代の女性たちが経験したであろう悔しさを噛みしめた末に、政治家という「天職」を得た。品川区選挙区の都議会議員から区長に転じ8年あまり。「自分のキャリアの中で一番長く続いています」と笑う。

 神奈川県茅ケ崎市のサラリーマン家庭に生まれ、3歳下の弟がいる。聡明な森澤と父は、テレビのニュース番組を見ながら社会問題を語りあうこともあった。そんな父だったが、政界入りだけは反対した。「政治家という仕事は大変だ」という親心だったが、今は積極的に応援している。

 最初の挫折は中学受験だった。志望校の受験間際に高熱を出し、試験には臨んだものの不合格。二次募集で入学したのが捜真女学校(横浜市神奈川区)、プロテスタント系の女子校だ。

「結果として大正解でした。ダンス部をエンジョイし、高2で米ミシガン州に留学、シングルマザーの家庭にホームステイしました。母親が週末に着飾ってパーティに出かけて自分の人生を楽しむという様子にびっくり。私の前向きさはここで養われました」

 区長に当選した際、捜真の先生から「愛に根差した区政を」と書いた手紙を送られたという。

(文中敬称略)(文・藤澤志穂子)

※記事の続きはAERA 2025年7月14日号でご覧いただけます

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