
そのほか、映画『ラストエンペラー』(1987年)のサントラ曲「Rain」、名盤「音楽図鑑」(1984年)収録曲「M.A.Y. in the backyard」、坂本が娘・坂本美雨のために書いたと言われる「Ongaku」(YMOのアルバム「浮気なぼくら」収録/1983年)などを収録。角銅真実(マリンバ、ボーカルなど)、小川慶太(ドラム、パーカッション)、伊藤彩(バイオリン)など実力派ミュージシャンが参加し、坂本龍一の音楽が下の世代に受け継がれていることを実感できる。
さらにボーナストラックとして、「Merry Christmas Mr. Lawrence re-modeled by Goro Ito Ryuichi Sakamoto」も。2009年12月のコンサートで坂本が演奏した『戦場のメリー・クリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence) 』を伊藤が再構築したトラックだ。
「このトラックはコンピレーション・アルバム『Christmas Songs』(2010年)のために制作したもの。当時は“原曲と違うものにしなくちゃいけない”と強く思っていました。もちろん“戦メリ”の要素だけで構築しているんですけど、大幅に再構築しているので、特に前半分は何の曲かわからないかもしれない(笑)。でも、いいんじゃないかな。教授もよく、そういうことをやっていたし、「いいね!」と言ってくれたので」

“TREE, FORESTS”というタイトルは、坂本龍一の音楽がジャキス、パウラ、伊藤―のそれぞれの“木”につながって“森”に成長していくこと、自然は普遍的なテーマであり、音楽の持つ癒しや生命力と調和するといった想いを込めてつけられたという。
坂本、ジョビンが遺した楽曲は今もなお、数多くの音楽家やリスナーを魅了し、豊かな音楽の果実を実らせているのだと思う。
「教授と一緒にレコーディングしたとき、僕の曲を教授が弾いたのですが、その演奏を聴いたとき、“何も説明しなくても、音楽は伝わるんだな”と初めて思えたんです。