
今回のトリビュートアルバムについては、録音前にまずライブツアーをやった影響が大きかったですね。ベーシックのレコーディングはソウルで行ったのですが、ライブで得た勢いを込められたと思います」
アルバムには細野晴臣さんも参加
アルバム1曲目の「Happy End」は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバム「BGM」の収録曲。今回は、細野晴臣がベース奏者として参加しているのも話題を集めている。
「原曲は前衛的といいますか、現代音楽のベールをまとった楽曲なのですが、その後、教授もソロのライブで取り上げるようになり、少しずつ楽曲の本質が浮かび上がってきて。僕自身も“こんなにいい曲だったのか”と改めて認識するようになりました。細野さんも絶対に好きな曲だろうなと確信していたので、ぜひ参加してほしくて。快諾していただき、“こう弾かなきゃ”と思うような素晴らしい演奏をしていただきました。アレンジについてのやり取りはあまりしてないのですが、“そうかそうか”と思いながら弾いてもらえたんじゃないかなと思います」

伊藤ゴローの作曲による「Fragmentos」は、本作のために書き下ろされたオリジナル曲。パウラが手がけた歌詞には、坂本も敬愛していたアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲のタイトルがちりばめられている。
「この曲を作るときは“坂本龍一に捧ぐ”という意識を持ち過ぎないようにしていました。トリビュートアルバムだからといって、あまり感傷的になり過ぎるのは違うのかな、と。まず僕がモチーフになるような音源を作って、ジャキスとパウラに送って。その時点では“断片”というイメージだったので“Fragments”(断片、破片、かけらの意味)という仮タイトルを付けたのですが、そのままポルトガル語にした“Fragmentos”という題名になりました(笑)。パウラの歌詞は教授との思い出も反映されていて、いい曲になったと思います」