アクティビストの言う「損得抜き」は本当か?
フジ・メディアHDの株主総会後の動向としては、かつての「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の長女・野村絢氏らなどもフジ・メディアHDの大株主になっているため、村上氏らがフジ・メディアHD株を買い増すのではないか、臨時株主総会の開催請求をするのではないかということが注目を集めています。
そのような期待が出ている背景には、朝日新聞紙上に「村上は、親しい幻冬舎社長の見城徹に対し『経済合理性や損得抜きに、民放はどうあるべきか、自分の人生の総決算としてフジに立ち向かい、最終的な決着をつける』と語っている。潤沢な資金でさらにFMH株を買い増すとみられる」という記事が載ったということも影響していると思われます。
しかし、野村氏らが提出した大量保有報告書・変更報告書を分析すると、実際に「損得抜き」で売買を行っているようには見えません。株価が2000円のときに買ったフジ・メディアHD株を、株価が2500円になったときに売却したりしています。
アクティビストのネガティブキャンペーンの効果は?
フジ・メディアHDと同様に、アクティビストの動向が注目されたのが、京セラの株主総会です。経営トップ選任議案に対して、オアシスというアクティビストが「経営改革策が不十分」だとして反対するネガティブキャンペーンを展開していました。
しかし結果は、山口悟郎会長の賛成率が63.84%、谷本秀夫社長の賛成率が69.83%という以外は、大半の取締役の賛成率が9割以上でした。この結果に大きな影響を与えたのは、大株主である国内機関投資家の判断です。その多くが京セラを支持したことから、否決されるような事態にはなりませんでした。
一方で、社長の取締役選任議案が否決された株主総会もありました。化学メーカーの太陽HDです。こちらでも、アクティビストのオアシスが株主になっており、そのような意味でも注目を集めました。株主総会後には、「株主の怒りが経営者の交代につながった!」「株主の議決権行使によって経営者が後退させられる時代!」といった報道も見られました。
ただ、太陽HDの場合は、筆頭株主のDICと大株主である創業家が社長選任に反対していたお家騒動にオアシスが便乗した、というのが真相です。
