フジテレビ本社ビル(写真/Gettyimages)
フジテレビ本社ビル(写真/Gettyimages)
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 2025年6月25日に開催された、フジテレビの親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)の株主総会をはじめとし、6月21日の太陽ホールディングス、6月26日の京セラなど、6月後半には注目度が高い株主総会がいくつも開催された。そのような株主総会には決まってアクティビスト(物言う株主)が登場しているが、それぞれの株主総会の結果を踏まえ、アクティビストは今後どのように動くのだろうか。上場企業のアクティビスト対策の専門家で、初めての著書『株式投資の基本はアクティビストに学べ プロの投資に便乗する「コバンザメ投資」の始め方・儲け方』を上梓したばかりの鈴木賢一郎さんに解説してもらった。

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フジ・メディアHDの圧勝に終わった株主総会

 6月25日のフジ・メディアHDの株主総会には私も出席していましたが、結果はフジ・メディアHDの圧勝と言ってよい内容でした。アクティビストによる株主提案で可決されたものはひとつもなく、株主提案のうちもっとも賛成率が高かったSBIホールディングスの会長兼社長の北尾吉孝氏を社外取締役とする案ですら、27%の賛成でしかありませんでした。

 株主総会の会場が一番盛り上がったのは、ホリエモンこと堀江貴文氏が質問者としてマイクを持ったときでした。「アクティビストはMBOをして立て直したほうがよいのではという提案をしている。上場企業でなくなれば、大胆な経営もできる。大きな買い手がきたほうが株価も上がるのでは?」といった趣旨の、経営陣の考えを確認する質問でした。しかし、アクティビストの提案が実現する可能性は、堀江氏も「(認定放送持ち株会社であるため)事実上難しい」と認めていた通り、高くありませんでした。

 事前に一部のマスコミでは、「個人株主がキャスティングボートを握っている」と報じられたりもしましたが、そのような波乱もまったく認められませんでした。なかには「24年3月末時点の個人株主の比率は約34%だった」という報道もあったのですが、私の試算によると、総議決権に対する個人株主の割合は12.19%であり、もともと、そのような見方が的外れだったとも言えます。
 

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