
「巨人にトップ選手が集まる時代は終わった」
FAを巡る環境は一昔前と一変した。かつては資金力が豊富な巨人が他球団の4番打者をFA移籍で集められたが、いまは岡本や村上宗隆(ヤクルト)のように日本で活躍したスラッガーはメジャーを目指すことを目標に掲げている。国内他球団とのFA争奪戦でも、巨人が敗れることは珍しくない。
球界関係者は「日本球界でトップクラスの選手たちが巨人に集まる時代は終わりました。筒香嘉智が昨年のシーズン途中にメジャーから日本球界に復帰する際、巨人も獲得を打診しましたが、古巣のDeNAが選ばれました。昨オフにFA権を行使した大山悠輔にも巨人はラブコールを送りましたが、阪神に残留しました。資金力で言えばソフトバンクのほうが上ですし、ブランディング面でも優位性がなくなっています」と指摘する。
日本の投手陣のレベルが上がり、助っ人外国人打者も日本に来てすぐに活躍できるケースは少ない。巨人に今年加入したトレイ・キャベッジは春先に打撃好調だったが、度重なる故障の影響もあり打率.244、7本塁打、25打点。得点圏打率.178は物足りない。昨年のシーズン途中に加入して攻守で活躍したエリエ・ヘルナンデスは打率.218、2本塁打と打撃の状態が上がらず、現在はファーム暮らしだ。
ある巨人OBはこう語る。
「岡本の穴を埋めるのは容易ではありません。当面は助っ人外国人の補強に力を入れつつ、ドラフト戦略が重要になってくる。和製大砲は球界全体を見渡しても少ないですが、それでも阪神が佐藤輝明や森下翔太、DeNAは牧秀悟、広島は末包昇大、中日は細川成也とスケールの大きい打者が出てきている。巨人は巧打者が多いが、多少粗くてもスタンドに運ぶパンチ力を秘めた選手が少ない。打線が小粒なままだと貧打が解消できず、低迷期に突入する可能性があります」
奮起が求められるのは生え抜きの選手たちだ。萩尾、浅野のほかにも、増田陸、三塚琉生、昨年のドラフト1位で入団した石塚裕惺など楽しみな素材はいる。一本立ちするためには多少の失敗に目をつむって我慢強く起用し続けなければいけない。