本連載の書籍化第6弾!『鴻上尚史の具体的で実行可能!なほがらか人生相談』(朝日新聞出版)
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【鴻上さんの答え】

 アキタさん。大変ですね。アキタさんの文章を読んで、「ウチもおんなじ!」と叫んだり、つぶやいたりしている人は多いんじゃないでしょうか。

 おそらく、アキタさんの夫は、アキタさんがここまで思い詰め、離婚の文字までちらついていることに、まったく無自覚だと思います。

 だからこそ、「頼んだことはやりますが、頼んだことしかやりません」という状態なのでしょう。「何回か、もっと主体的になってほしいと言ったこともありますが、特に改善されませんでした」というのも、夫は、事態を深刻に見てないということだと思います。

「信じられない。私がこんなに苛立っているのに、気づいてないの!?」とアキタさんは思われるでしょうが、気づいてないのです。

 だから、「ゲームをしたり、釣りやスポーツ観戦などに出かけたり」できるのです。

 どうして気づかないのかと言えば、これはもう「甘えている」からです。アキタさんがおっしゃるように、「もう一 人(の)子供」として母親に甘えているのです。

 信じられないでしょうが、多くの男達は、本当の母親から、妻という母親に甘える対象を移すのです。

 ミもフタもなく言ってしまえば、「それで許される」と思っているのです。自分の母親が許してくれたように、妻も許してくれると思い込んでいるのです。

 だから、熟年になって、妻から離婚を提案されて、驚愕するのです。自分は言われたことはやってきたはずだ、ちゃんと稼いでいい父親だったはずなのにと、茫然自失になるのです。

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