ガソリン税をめぐる攻防では自公が押し切った

 与党で過半数割れのデメリットは、野党7党が提出した7月1日からガソリン税の暫定税率廃止を実施する法案をめぐり、先日も露呈した。財務金融委員会の自民党・井林辰憲委員長に対する解任決議が野党の賛成多数で衆議院で可決したのだ。後任には、立憲民主党の阿久津幸彦氏が任命された。衆議院で常任委員長の解任決議が可決されたのは現行憲法下では初めてだ。これで国会の会期前に決定した常任委員長のポスト数が「与党10、野党7」から「与党9、野党8」に変更され、自民党内からは危惧する声が上がった。

 ガソリン税の暫定税率廃止を実施する法案は6月20日に衆議院で可決され、参議院に送られた。会期末までに成立させたい野党と、阻止したい与党との間で攻防戦が繰り広げられ、21日には参院財政金融委員会で審議入りしたが、自民党の三宅伸吾委員長は採決しないまま散会を宣告。立憲民主党からは22日に両院協議会を開くことも提案されたが、自公が過半数を占める参議院では実現しなかった。

 この法案をめぐって野党を押し切れたのは、参議院で自民党が113議席、公明党が27議席と、与党で過半数(125議席)を占めているからだ。そして自公の非改選の議席数は75で、次期参院選で与党が50議席を確保すれば過半数を維持することができる。

 しかし自公で50議席を割る可能性も否定できない。例えば2007年の参院選では、自民党は27議席減の37議席しか取れず、1955年の結党後初めて第1党の座を他党に譲ることになった。そして3議席減で9議席となった公明党と合わせても、与党は46議席しか獲得できなかった。

 そんな状況にもかかわらず参院選に向けた対策の評判はいまいちだ。減税を求める世論の声があるのに、自民党が19日に発表した参院選の選挙公約は「1人2万円・子どもと住民税非課税世帯の大人には4万円」の現金給付といったもの。21日と22日に行われた共同通信の世論調査では実に54.8%が反対だった。

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