公明党の三浦信祐選挙対策委員長(撮影/大谷百合絵)

「2万円給付はバラマキだ」の声に思うこと

――軽減税率引き下げを公約から外したことについて、党内からは「自民党に押し切られた」「目玉政策がないと選挙戦で戦いづらい」という不満の声も上がっているようですが。

 公明党はこれまで、上層部が決めた方針に全員が従うイメージが持たれていたかもしれません。それにもかかわらず、そのような報道がされているのは、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をして、さまざまな意見が出る政党にアップデートしたと評価していただいていることの裏返しでしょう。ありがたいですね。

 軽減税率に関する方針は、自民党さん云々というより、党内で深い議論を重ねたことで責任ある結論を導き出したということです。代わりの目玉政策としては、公明党が福祉の党である以上、エッセンシャルワーカーの所得向上は譲れないポイントです。また、政策実現に向けた財源を生み出すために、政府系ファンドの創設も掲げています。

――自民・公明両党は物価高対策として、国民1人あたり2万円の給付を公約に盛り込む方針です。「2万円もらったところで財布のひもは緩くならない」「選挙対策のバラマキだ」といった世論の反発をどう受け止めますか。

 われわれは今年度、所得税の非課税枠である“103万円の壁”を“160万円の壁”に引き上げる税制改正法を成立させました。これにより1世帯あたり2万~4万円の減税効果が見込め、生活者の方々からは「この物価高の中で非常に助かる」という声が届いています。数万円の還元でも必要とされている現実があるのです。即効性のある対策として、減税よりも給付のほうが理にかなっていると考えます。

――2022年の参院選は比例区での得票目標を800万票と掲げていましたが、結果は618万票でした。公明党を支える創価学会の会員減少が、党勢退潮に影響しているのでしょうか。

 創価学会が最大の支持母体であることは事実ですが、大衆政党であるわれわれが政治活動において一貫して大切にしてきたのは、すべての国民のみなさんとの対話です。近年の得票減少は、ひとえにわれわれの力不足です。今回は比例区で700万票の獲得を目指します。

次のページ 自公連立解消の可能性は?