EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM
EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM
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ようやく登場の高倍率ズームレンズ

 キヤノンEOS Mシステム用交換レンズEF-Mとしては初となる高倍率ズームレンズだ。35ミリ判の換算画角でおよそ28.8~240ミリ相当の画角になる。特にテレ端の画角は超望遠といってもよい領域だが、4段分補正のIS(手ブレ補正機構)を内蔵し対応している。

 AFモーターはSTM(ステッピングモーター)なので、静粛さに加え、動画撮影時にも効力を発揮する。AFはボディー側の性能によるところが大きく、爆速とはいえないが不快にならないで済むくらいの速さだった。APS-Cサイズの撮像素子のミラーレス機の特性を生かした重さは約300グラムで、このスペックでは小型・軽量といえる。運動会やスポーツ撮影にも役立つほか、撮影旅行にも携行するレンズを減らすことができるから便利に使える。

 鏡筒は金属製だが、マウント部はプラスチック製で、少々不満を感じる。軽量化のためなのか。フォーカスリングもEF-Mレンズに共通したMF時の操作性の考慮はあまりされていない細身のもの。キヤノンが想定するEOS Mシリーズのユーザーがビギナー寄りだからこれでよいという判断なのだろう。

 レンズ構成は13群17枚。非球面レンズやUDガラスを使い、収差補正を行っている。描写特性は高倍率ズームとしては優秀。これもバックフォーカスに余裕のある(短い)ミラーレス用レンズの特性だろうか。開放F値を抑え気味にしていることも、大きさに加えて画質にも余裕を生んでいるのかもしれない。JPEG撮影では、カメラ内の収差補正や、周辺光量補正もあわせて行われる。RAW設定では専用ソフト(DPP:Digital Photo Professional 4)を使い、個別のレンズのデータに沿って対応するデジタルレンズオプティマイザを組み合わせて現像すれば、より高画質が望める。

 テレ端側は開放F6.3と少し暗めだが、ミラーレス機用なので、電子ビューファインダーと背面モニターでフレーミングを行うのでファインダーの明るさに影響は与えないが、低輝度での撮影には注意したい。フードはキヤノンらしく別売。しかし、レンズの特性から考えれば同梱すべきだ。

 EOS Mシリーズ初の高倍率ズームであり優秀で高性能なのに、突出した魅力を感じないのはスペックとしてはおとなしいからだろうか。

ワイド端での街スナップ。鏡筒は少々長いが携行は問題ない。少し絞り込むだけでパンフォーカスになる。こうなるとMFで目測設定して撮影したくなる。簡易的でもいいので距離表示が欲しい。切れ味よく、高倍率ズームであることを感じさせないクリアな描写だが、いささか硬い描写にも感じる●18ミリ時・EOSM5・AE(絞りf14・800分の1秒・-0.7補正)・ISO400・AWB・RAW
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ワイド端での街スナップ。鏡筒は少々長いが携行は問題ない。少し絞り込むだけでパンフォーカスになる。こうなるとMFで目測設定して撮影したくなる。簡易的でもいいので距離表示が欲しい。切れ味よく、高倍率ズームであることを感じさせないクリアな描写だが、いささか硬い描写にも感じる●18ミリ時・EOSM5・AE(絞りf14・800分の1秒・-0.7補正)・ISO400・AWB・RAW
テレ端でビルの側面を切り取ってみた。シャープな描写で満足度が高い。歪曲収差はカメラ内の画像処理でも補正されるが、元のレンズの素性が優秀なこともあるのだろう、不自然さを感じさせない直線の再現である。テレ側で鏡筒が大きく伸びるもののバランスは悪くない●150ミリ時・EOS M5・AE(絞りf11・1600分の1秒・-0.3補正)・ISO200・AWB・RAW
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テレ端でビルの側面を切り取ってみた。シャープな描写で満足度が高い。歪曲収差はカメラ内の画像処理でも補正されるが、元のレンズの素性が優秀なこともあるのだろう、不自然さを感じさせない直線の再現である。テレ側で鏡筒が大きく伸びるもののバランスは悪くない●150ミリ時・EOS M5・AE(絞りf11・1600分の1秒・-0.3補正)・ISO200・AWB・RAW

◆赤城耕一

●焦点距離・F値:18~150ミリ・F3.5~6.3●レンズ構成:13群17枚(非球面レンズ2枚、UDレンズ1枚)●画角:74°20′~10°25′●最短撮影距離:0.25メートル(18~50ミリ時)、0.45メートル(150ミリ時)●最大撮影倍率:0.31倍(150ミリ時)●フィルター径:φ55ミリ●大きさ・重さ:φ60.9×86.5ミリ・約300グラム●価格:税別6万8000円(実売 5万6210円)●URL:http://canon.jp/